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目的再考

 最近は、ぼちぼち予備試験の勉強を再開できていますが、まだまだ直前期のモチベは戻ってきません。なので、自分がなぜ予備試験経由で弁護士を目指そうと思ったのかのきっかけを、自分が所属するJTC(ジャパニーズトラディショナルカンパニーの略)総合職の未来予測とともにここに残したいと思います。 たまに、「なんで勉強しているんだっけ」と考えてしまうときがあるので、そういう時はここに戻って、目的を再認識できる役割が発揮できたら良いなと考えています。 誰も見てないから好き勝手書こう。 プロフェッショナルが集う業界へのあこがれ 1つ目は、フェアで実力主義とされている業界に所属することへのあこがれみたいなものです。考えるようになったきっかけは、私が所属している会社の形態が大きく変化し、間接部門が特定の会社(間接業務を担うことを目的として新たに設立された会社)に移管され、雇用主が変化したことにあります。これにより、賞与原資の減少、労働組合の弱体化等が予測されます。また、移管の目的として、明確に固定費削減が掲げられていることもあり、将来の待遇悪化が既定路線となっています。 私の会社は昇給や昇格が年齢や在籍年数に強くリンクしている典型的な年功序列型のシステムを採用しているため、将来の待遇悪化が確実となった場合、このシステムは機能しなくなります。若い世代は付加価値と報酬がバランスせず、どう頑張っても年上のおじさん・おばさんに貢ぐ構図になります。こうなると所属するメリットが感じられず、モチベが中々湧きません。そんなときに、年齢に関係無くフェアで実力主義の傾向のある弁護士業界が魅力的に映りました。 組織横断的スキルの獲得 2つ目は組織横断的スキルを獲得したいと考えたことです。JTCの仕事は、多くのブルシットジョブから成り立っており、正直やってもやらなくてもどうでも良い仕事や組織固有スキルに依存した仕事ばかりなので、組織から離れた場合、多くの人がキャリアを継続できなくなります。これは自分の人生を特定の組織に依存している形なので、リスクが大きいです。組織への依存度を下げるために、組織横断的、普遍的なスキルを持ちたいと思ったのが弁護士を目指した理由として挙げられます。自分の人生を特定の組織にできるだけ依存せず、自分でコントロールできるのが理想な状態です。 ...

令和4年予備試験:短答試験までの振り返り

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短答試験までを振り返りと来年度に向けた纏めです。  論文試験が終わって1週間が経ちましたが、中々来年に向けた勉強に取り掛かれないので、自分の学習を振り返りたいと思います。(論文試験は歯が立たなかったので、すぐに勉強始めないとダメなのですが…笑) まず、1回目の予備試験です。学習期間は1年4カ月でした。確か、試験1週間前に基礎マスターの最終科目、行政法の受講を完了させ、過去問を全く解かない状態で挑み、見事に惨敗しました。 当時は根拠のない自身があり、「まぁ、短答はコモンセンスでいけるやろw」と思っていましたが、試験開始とともに問題を見てビックリ。問題文の単語の意味が分かりません。特に、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法。とりあえず、適当にマークシートを塗りましたが、ほとんど勘です。あとは、コモンセンス。 全科目を異常なスピードで塗り終え、余裕で20分以上残して寝てました。そして、約8000位の順位で堂々のフィニッシュ。1回目はこんな感じでした。 その後、予備試験の難しさを肌で実感し、また「20代で試験勉強の類からは距離を置きたい」と思っていたことから、焦りだし、本格的に勉強に目覚ました。 で、そこから1年で、法律科目は91点→152点までいけました。160点を目標にしていましたが、自分のポテンシャル考えるとまぁ十分かなと思います。来年は法律科目で160点は超えたいです。 短答までの1年間でした具体的な勉強方法は以下の通り。 基礎マスターの再受講(行政法以外)、残科目(商法総則、手形、実務基礎、選択科目) 1年4カ月の勉強は何だったんだという感じですが、「既判力?」「緊急避難?」「不法領得の意思?」という状態だったので、基本的な概念の理解、記憶ができていないことに気づき、対策を考えました。 まず、理解するための手段として基礎マスターの再受講、そして、記憶するための手段として、Ankiを使うことに決めました。 後、記憶を維持していくためには、勉強量が必要になるので、平日の勉強時間を1時間→3~4時間に増やしました。 確か、2021年末に基本7科目の2周目を終え、1月~2月初旬くらいで残科目の基礎マスターの受講を終えたと思います。 この時期の基礎の構築が今年の短答合格に繋がったと思います。「最初の1年でやっとけよ」とも思わなくもないですが、ポンコツなんでしゃあないです。 ...

令和4年予備試験論文式試験を受けて

ちょうど、論文試験を受けて1週間が経過した。再現答案の着手にモチベが上がらず、だらだらと過ごしてしまった。実務基礎科目の再現答案が残っているが、刑事実務はノー勉で挑んだため再現価値がないだろう。民事実務は今日中に頑張って作成しよう。 感想としては、以下の3つ。全部分かりきっていることだけれども、実感として感じれたのは良かった。 短答合格の水準と論文合格の水準との大きなギャップ 判例、条文趣旨の正確な理解、記憶の必要性 書く練習の必要性 一つ目は、三つ目に書いたことと重複するが、短答試験と論述試験を合格するための知識水準には大きなギャップが存在する。特に、求められる理解のレベル、記憶の正確性、記憶した情報を引っ張り出すスピード、記憶した情報、理解に基づく事案の分析スピード、においてギャップがあると実感した。短答はふんわりとした理解でも正解に至れるし、細かい判例の規範を記憶しておく必要性も乏しいと思うが、論文はそうではなかった。 二つ目は、判例、条文趣旨の正確な理解、記憶の必要性。これは、Ankiによる継続的な反復、想起を行って対処したい。また、判例、趣旨の想起する際は併せて問題演習で出会った具体的事実関係も想起するように意識する。これにより、本番の問題の事実関係における論点抽出の正確性(過去出会った問題の事実関係と本番の問題の事実関係の一致点、相違点を認識できるようになるはず)、スピード向上が期待できると思う。 三つ目は、書く練習の必要性。まず、想像以上に腕、手首がつかれる。タイピングとは違う筋肉を使うのかな?あと、頭の中の理解を文章表現として可視化するスピードを上げる必要性がある。また、書くことを通して、自分の知識水準を客観的に認識できるのはメリットだと感じた。短答合格水準であればワンチャン受かるかもと思っていたけど、自分の知識水準の低さを今回の論文で感じることができた。 最後に、予想を書いておこう。主観との乖離がどの程度あるか3カ月後見てみたい。 憲法:F これは文句なしでFだと思う。 行政法:E 補充性ぽいこと書いたのでそれで。 民法:E 設問2が頓珍漢すぎるが、設問1のあてはめは頑張ったので。 商法:C 利益供与は否定したけど、触れてるし、兼任禁止も言及しているので何とか 民事訴訟法:F これは文句なしでFだと思う。 刑法:C 未成年の事情に触れてないし、いろ...

令和4年予備試験刑事訴訟法

  1.       ①の行為の適法性について (ア) P は、被告人 A の妻である甲が所持していたキャリーケースを甲の承諾を得ることなく、チャックを開け、その中を捜索したものである。甲は被告人以外の者であるから、押収すべき物である「覚醒剤、注射器、計量器」の存在を認めるに足りる状況が必要である。(刑事訴訟法第 222 条第 1 項、 102 条 2 項) (イ) P が捜索を開始した当時、甲は同室玄関内において、コートを着用し、靴を履いてキャリーケースを所持していた。また、 P は甲からの再三の要請にも関わらず、キャリーケースの持ち手を握ったまま多、頑なにキャリーケースの中を見せなかったものである。これら甲の挙動は不自然と評価することができる。以上の点を踏まえると、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況があったと評価することができる。 (ウ) 次に、 P は甲の承諾を得ることなく、無施錠のキャリーケースのチャックを開けているが、これが必要な処分(第 111 条)として許されるかが問題となる。 (エ) まず、押収すべき物である「覚醒剤、注射器、計量器」の特徴を考慮すると、捨てるなどして容易に証拠隠滅を図ることができると考えられる。また、甲は頑なにキャリーケースの中を見せなかったものであり、証拠存在の蓋然性が高いと放火できる。よって、必要性は認められる。 (オ) 甲の行為は、無施錠のキャリーケースのチャックを開けたまでであるから、相当性を認めることができる。 (カ) 以上の点を踏まえると、Pの上記行為は、必要な処分と認められる。 (キ) 以上より、①の行為は適法である。 2.       ②の行為の適法性について (ア) P は、被告人 A の息子である乙が所持していたボストンバックを取り上げて、その中を捜索したものである。乙は被告人以外の者であるから、押収すべき物である「覚醒剤、注射器、計量器」の存在を認めるに足りる状況が必要である。(刑事訴訟法第 222 条第 1 項、 102 条 2 項) (イ) P が捜索を開始した後、乙はボストンバッグを所持して同室に帰宅した。乙は同室内に入った後も同ボストン...

令和4年予備試験刑法

設問 1 1.       Y に対し、ブドウを万引きさせようとした行為について (ア) 甲は、Yに上記ブドウを万引きさせようと考え、Yに対し、ブドウを持ってきてと指示した。 Y は、ちゅうちょしたが、強い口調で言われたため怖くなったものである。また、甲は Y の母親であり、 Y は 6 歳である。以上より、 Y は甲に対し、意思を抑圧され、道具として利用されていると評価できることから、甲は、窃盗罪(刑法第 235 条。以下、法令名省略。)の間接正犯が成立し得る。 (イ) 窃取とは、占有者の意思に反して、自己または第三者の占有に移す行為をいう。本問において、 Y はブドウを見つけることができず、何もとらずに店を出ていることから窃取したとはいえず、既遂犯は成立しない。 (ウ) 次に窃盗罪の未遂罪(第 243 条)の成否を検討する。未遂罪は、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合に成立するところ(第 43 条)、実行に着手とは法益侵害惹起の現実的危険性が生ずる行為をしたときを意味する。間接正犯においては、利用者の行為を基準とすると罪が成立する時期が早すぎるため、道具である Y の行為を基準として考えるべきである。本問において、 Y は他人の財物である C 店のブドウを窃取しようと店内に入り、探したものの、ブドウがある場所を見つけられなかったものであるから、窃盗行為の実行の着手は認めることができない。よって、未遂罪は成立しない。 (エ) 以上より、甲は、 Y に対し、ブドウを万引きさせようとした行為について罪責を負わない。 2.       X に対し、ステーキ用の牛肉をとってくるよう指示した行為について (ア) 甲は、 X に対し、ステーキ用の牛肉をとってくるよう指示した。 X は、一旦断ったものの、甲に説得されて、応じたものである。 X は 13 歳である点や説得に応じている点を考慮すると、 X の意思が抑圧されていると評価できず、甲の間接正犯は成立しない。 (イ) 次に、甲は X に対し、ステーキ肉をとってくるよう提案し、 X はこれに応じていることから、窃盗について共同実行の意思が認めることができる。また、甲は、ねらい目の時間帯の情報を提供したり、商品...

令和4年予備試験行政法

設問 1 1.       断念した理由 (ア) D は取消訴訟の出訴期間(行政事件訴訟法第 14 条第 1 項)が徒過していると考えたため、断念したと考えられる。 (イ) まず、本件処分は、平成18年4月14日に告示によりなされている。また、告示と同時に、本件土地の所有者である当時のDの代表者にも通知されていることから、適法な指定である。(本件条例第 4 条第 3 項)よって、本件処分は、平成 18 年 4 月 14 日に効力が生じている。(本件条例第 4 条第 4 項) (ウ) 取消し訴訟は、処分があったことを知った日から 6 か月を経過したときは、提起することができないため(行政事件訴訟法第 14 条第 1 項)、出訴期間が徒過している。また、 D に正当な理由が認められる事情はない。 2.       原告適格について (ア) まず、Dは自己の土地である本件土地の利用が本件処分により制限されていることから、本件処分の無効の確認につき、法律上の利益を有するものと認められる(第 36 条)。 (イ) 次に、本件処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないかについて検討する。 以降の記載は忘れた。 無効確認訴訟のほうが、無効を前提とする本件処分の効力が及ばない旨の当事者訴訟よりも直せつかつ適切と記載したと記憶している。Dは「本件処分の内容の明確性や手続き等に問題があることから、本件処分それ自体を争うべきであると考える」との記載から導いた。 設問2 記憶ほとんどなし 本件条例第 22 条、4条を組み合わせて、実質的に保護委員会の諮問が不存在であった旨を記載し、それが無効理由だと記載。 行政法も憲法と同じで、再現答案が難しい科目の1つだっと。これも答案の型を知らなかったため、ざっくりと 設問1について。出訴期間を書くだけ?と疑問に思いながらも、分からないので、出訴期間が徒過していることを条例も踏まえながら記載した。何が論点だったんだろう。無効訴訟の当事者適格については、短答知識で補充性が想起できた。ただ、論文でどのように表現したら良いかがイマイチ分からなかった。Twitte...

令和4年予備試験憲法

1.        争議行為の禁止規定について (ア)   争議行為の保障 憲法 28 条で保障。労働者が不当な地位にあったことを経緯とする旨を記載 (イ)   特別公的管理鉄道会社への保障の有無 公務員には団体争議権が認められない旨を記載。 今回の従業員が公務員と同視できるかを長々と記載。結果、公務員と同視できず、団体争議権が保障される旨を記載。 (ウ)   制約の程度 権利は重要、制約もきついと記載 (エ)   違憲審査基準 うろ覚えの中間審査基準もどきを記載。 (オ)   あてはめ 市場原理が働かない旨を記載した。 2.        あおり、そそのかし行為の処罰規定について (ア)   地方鉄道維持特措法案における争議行為のあおり、そそのかしの処罰規定は、当該行為を行った従業員に対し一律に処罰をするものである。争議行為をあおり、又はそそのかしたという行為は、抽象的であり、行為の予測可能性が担保されていない。よって、本規定は明確性の原則に反するため、憲法第 28 条には適合しない。   憲法は、答案の型も知らないまま、本番に臨んだため答案の再現が不可能だった。ほとんど作文のため、おそらくF評価の0点だと思う。再現する意味もないので、ざっくりと。 これからは、加藤ゼミナールの基礎問講座で答案の型や思考フローをしっかりと学ぼう。以上。やるだけ。

令和4年予備試験:知的財産法(選択科目)

設問 1 1.       Xデータベースは、建売住宅についてこれまで存在していなかったものを、Xの従業員が多大な労苦を重ねて建売住宅の情報を収集して制作したものとの主張について (ア) データベースは、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有する場合に、著作物として保護される(著作権法第 12 条の 2 第 1 項。以下、法令名省略。)保護される表現部分は、データベースに格納されている情報そのものではなく、情報の選択又は体系的な構成の創作的な部分のみである。そのため、 X データベースに格納されている建売住宅の情報が、従業員が多大な労苦によって収集して、制作したとしても、著作物性の判断に影響を与えるものでない。 (イ) 以上より、 X の「建売住宅についてこれまで存在していなかったものを、Xの従業員が多大な労苦を重ねて建売住宅の情報を収集して制作した」旨の主張は妥当でない。 2.       建売住宅の選択、住みやすさ等の独自のデータ項目の選択及びそれらの画面表示上の順序に独自の工夫が凝らされているものとの主張について (ア) データベースは、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有する場合に著作物性が認められるが、創作性とは、著作者の個性が何らかの形でその表現に現れていれば足りると解され、個性の有無は、表現の選択の幅の有無によって判断する。表現に選択の幅があれば、通常何らかの個性が現れるからである。 (イ) 本問において、建売住宅の情報は A 県内に実在する全ての2階建ての建売住宅約3万件を選択したものであり、また、データ項目の「住みやすさ」とは、Xのベテラン従業員のセンスと感覚により、社内での検討を経て、 居住した場合の主観的な満足度の予想を5段階にランク付けしたものである。建売住宅のエリアを A 地区に設定した点や 2 階建てに設定した点は、選択の幅が複数ある中から選択されたものであることから、その情報の選択について個性が認められ、創作性が認められる。また、「住みやすさ」のデータも、主観的な満足度をランク付けしたものであるから創作性が問題なく認められる。一方で、販売開始年月日の新しい順に表示される構成は、ありふれた...

令和4年予備試験:民事訴訟法

 設問 1 1.       ①の方法について (ア) X の意思決定は、 X の構成員全員で構成される総会の多数決によって意思決定がなされるものである。よって、 X の構成員である A が X の代表として訴訟追行するためには、 X の総会による多数決が必要となるため、相当数の構成員による反対が予想されることを踏まえると①の方法は妥当ではない。 2.       ②の方法について (ア) 総有権とは、構成員それぞれが有することを観念できるものであるところ、総有権の確認は保存行為に当たるため、必要的共同訴訟になると解される。よって、 X の構成員である A は単独で訴えを提起することができるため、相当数の構成員による反対が予想されたとしても、訴えの適法性に影響を与えるものではない。 設問 2 1.       ㋐について (ア) 裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することはできない。(第 142 条)重複起訴が禁止されている趣旨は、重複審理が行われることによって訴訟経済が害されることを防止する点、矛盾した判決がなされることを防止する点にある。 (イ) まず、本件訴訟と本件別訴の当事者は共に X と Y であり、当事者が同一である。 (ウ) 次に、本件訴訟の訴訟物は甲土地の総有権の確認であり、本件別訴の訴訟物は甲土地の所有権に基づく返還請求権としての明渡請求権であり、訴訟物が同一ではない。しかし、本件別訴の訴訟物の有無を判断するにあたって、甲土地の所有権の有無が問題となる。物権は 1 つの物に対して 1 つしか成立しないため、総有権と所有権が両立することはない。よって、本件訴訟と本件別訴との間では、矛盾判決が生ずるおそれがあり、重複起訴禁止の趣旨に抵触する。 (エ) 以上より、本件別訴は重複起訴にあたり、訴えは不適法である。 2.       ㋑について (ア) 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。(第 114 条)そのため、前訴判決の既判力は、 X が甲土地の総...

令和4年予備試験:民法

設問 1(1) 1.       本件請負契約は有償契約であるため、売買契約の規定が準用される。(民法第 559 条。以下、法令名省略。)契約内容に適合しない場合には、依頼人は請負人に対し、代金減額請求(第 563 条)が可能である (ア) 本件請負契約は、 A が甲建物を新築することを約し、 B が報酬として約 2 億円を支払うことを内容とし、契約締結の際には、外壁塗装には塗料αを使用してほしい旨を B が伝え、 A はこれを了承しているものである。しかし、 B は A に無断で、塗料βで甲建物に外壁を塗装していることから、これが本件請負契約の内容に適合しないものであるかが問題となる。 (イ) 塗料αと塗料βは同系色であり、また、塗料βのほうが高価である。しかし、塗料αは極めて鮮やかなピンク色の特徴を有し、塗料βは明度が低いという違いがある。また、甲建物は、 5 階建ての店舗用建物であることから、外壁が顧客に与える印象に大きな影響を与えると考えられる。以上の点を考慮すると、契約締結の際に塗料αを使用してほしい旨を伝えていることから、本件請負契約の契約内容として、甲建物の外壁に塗料αを使用することが含まれていたと考えられる。 (ウ) よって、 A が甲建物の外壁を塗料βで塗装したことは、本件請負契約の内容に適合しないものである (エ) B は、塗料αで再塗装することを A に求めた(第 562 条)が、 A はこれを拒絶している。 (オ) 以上より、 B は A に対して、契約内容に適合しないものとして代金の減額を請求することができる。(第 563 条第 2 項第 2 号) 設問 1(2) 1.       依頼者である B が A に対し、債務不履行を理由として損害賠償を請求するためには、① A が債務の本旨に従った履行をしていないこと② A に帰責事由があることが認められる必要がある。 (ア) まず、請負人である A は、塗料αで外壁を塗装することが契約の内容になっていたにも関わらず、塗料βを使用して甲建物の外壁の塗装をしていることから、本件請負契約の内容の債務の本旨に従った履行をしていないことが認められる。(①充足) (イ) 次に A が塗料βを使用...

令和4年予備試験:商法

設問 1 1.       本件取引が利益供与に該当する旨の主張 (ア) 甲社は、本件取引により株主 C から本件土地を 2 億円で買い取っていることから、株主 C に対し、財産上の利益を供与したものと認められる。(会社法第 120 条第 1 項、第 3 項。以下、法令名省略。)また、本件取締役会決議により、取締役A,B及びEが関与したことが認められる。(第 120 条第 4 項) (イ) 次に、甲社と C との間の本件取引が、「株主の権利の行使に関し」といえるかを検討する。取締役 A は、 C から本件土地を買取ることを見送るとの結論に達したにも関わらず、 C の態度から C が株主 D と協調して行動することを恐れ、結果局 C から本件土地を買取ったものである。 C と D の保有株式数の合計は、 2600 株であり、また、AとDは対立関係にあったことから、株主総会において取締役としての地位を解任されることを恐れたようにも思える。しかし、本問の事情からは、取締役Aが、具体的に何に恐れたかは明らかではない。また、本件土地の価格 2 億円は適正価格でもある。以上の点を踏まえると、本件取引が「株主の権利の行使に関し」と認めることはできない。 (ウ) 以上より、Dが、本件取引が株主 C への利益供与に該当する旨の主張は妥当ではない。 2.       本件取引が取締役の善管注意義務に反する旨の主張 (ア) 取締役 A らの本件取引が、甲社に対する忠実に職務を行う義務(第 355 条)に反し、損害が発生したとして甲社に対し任務懈怠責任(第 423 条)を請求することが考えられる。 (イ) 本件取引の経緯としては、交渉の過程で、不動産業者から倉庫建設に適した別の土地の情報がもたらされたにも関わらず、株主 C が D と協調することを恐れたため、本家土地を購入したものである。本件土地は適正な価格であるものの、不動産業者から提案された土地のほうが円滑に商品を出荷することが可能となることから、その土地に倉庫を建設した場合には現在よりもより効率的に事業を営むことによって、より利益を得ることができたと認めることができる。 (ウ) 以上より、善管...

はじめに

はじめまして。broccoliです。司法試験予備試験合格を目指して勉強しています。 2020年1月に伊藤塾の門をたたき、約1年4か月の勉強を経て、2021年5月の予備試験短答を113点(法律科目:91点)、7,863位(受験者11,717人)というかなり渋めの結果で不合格でした。その後、意識を改め、1年間の猛勉強(歩きながら、ごはん食べながら、時には筋トレをしながら…)を経て、2022年5月の予備試験短答を受け、無事161点(法律科目:152点)、2,496位(受験者13,004人)で短答を合格しました。現在は、論文式試験を受けた直後です。 予備試験の再現答案を作成しようと思ったのですが、どうせなら世の中に開示し、皆様からの遠慮のない意見をいただいて、自分の糧にできたらなと思い、なんとなく始めました。あとは、働いていると予備試験の受験関連の自分自身の思考を忘れがちになるので、ブログという形で自分の思考を一元化して、ふとした瞬間に見返したいなとも思っています。 まぁ、飽き性の自分からすると継続もできなさそうだし、そんなに読者もいないと思うので、テキトーにやってきます。

令和4年予備試験法律実務基礎科目(民事)