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今後に向けて

 再現を書いてみると、発狂してしまうくらいミスが見つかってしまう笑。ただ、現場で対応できるミスとそもそも対応できないミス(根本的に理解を間違えている)があるなと感じた。今年は知的財産法のブーストが働かないため(キャラクターの著作物性の論点を丸々落としていることや、問題自体も簡単で特に難しくはないため。)、700~800位(良くて600位代)の肌感覚。去年は何やかんやで合格発表日まで、ノー勉だったので、早く切り替えて緊張感をもって過ごさねば。 とりあえず、来年の試験に向けては以下の点を意識、注意したい。 タイムマネジメントを適切に行い、白紙答案をゼロにする(今年は民法が設問2以降がほぼ白紙の状態になってしまった。)。具体的な方法としては、公法は行政法→憲法の順番、刑事は刑事訴訟法→刑法の順番、民事系は商法 or 民事訴訟法→民法の順番、実務基礎科目は民事実務基礎→刑事実務基礎の順番で解く。行政法、刑事訴訟法、商法、民事訴訟法は手が回りにくいため、高評価を得やすく、また、先に解いた科目が時間オーバーすると一部白紙答案になる受験生が多く、相対的に点数がとりやすいと推測される。 三段論法を徹底する。よく言われることではあるが、見慣れない形式、見慣れない論点になった途端に三段論法は崩れてしまうため、通常の答案作成時から意識する必要性がある。 問題文に隠されたヒント、問われている内容を正確に理解する。これは、今年でいうと、憲法の会員の発言に配点が降られていることに気づいたのが遅くなり、答案に適切に組み込みことができなかった。また、民法も設問2では厚く書いて欲しい部分が明示されていたため、そこを中心に書き上げるのが良いのだろう。 要件の網羅的検討。行政法設問2(2)一定の処分、個別法の各要件、商法の特別支配株主の売り渡し請求の差し止めの不利益要件など、知識がなくとも現場判断で冷静に対応すれば、点数が稼げる項目は絶対に落とさないようにしたい。ただ、この対応策が正直思いつかない。予備試験の問題量の多さ、タイトな時間(70分)の制約から、どうしても検討漏れが出てしまうように思う。時間の節約という意味で、答案では略称をうまく使用する、点数がつかないような部分は端的に記載することが有用なのだろうか。あとは、論証を暗記することも答案作成の時間を短くするためには有効かな。 知識を

令和6年予備試験:知的財産法(予想A)

 知的財産法(4枚) 第1 設問1 Cは、①本件小説の翻案権(26条)及び本件ポスターにつき有する複製権(21条)、譲渡権(26条の2第1項)の侵害、②本件キャラクターの名称につき有する複製権、譲渡権の侵害、③本件キャラクターのセリフにつき有する複製権、譲渡権の侵害をDに主張することが考えられる。 ①について まず、本件小説は言語の著作物(10条1項1号)であるから、Cが創作者と認められれば、著作権を有する(17条1項)。 Cはαの過去作品と本件資料を基にして、本件小説を執筆していることからCに創作的寄与が認められることから、著作者である。よって、Cは本件小説につき著作権を有する。なお、Aとは一切連絡を取っていないことから共同著作物(2条1項12号)にはあたらない。 「翻案」とは、原著作物に新たな創作的表現が付与され、原著作物の表現上の本質的特徴を感得し得るような著作物を創作する行為をいう。本件では、Cが捜索した本件キャラクターの外観上の特徴を視覚的に表現した絵画が用いられていることから、D独自の創作表現が付与され、かつ、本件小説に含まれる本件キャラクターの外観上の特徴が感得し得るような状態となっていることから、「翻案」にあたる。よって、本件小説の翻案権を侵害する。 また、二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を有する(28条)ことから、本件ポスターの印刷及び販売行為は、本件ポスターにつき有する複製権、譲渡権を侵害する。 よって、Cの主張は認められる。 ②について 本件キャラクターの名称は言語の著作物に該当し得る。もっとも、著作物(2条1項1号)といえるためには、「創作的に」表現されたものでなければならない。 創作性は著作者の個性が何らかの形で現れていれば足り、個性の有無は表現の選択の幅の有無によって判断する。本件キャラクターの具体的名称は明らかではないが、通常名称は短い文字数で表現される。また、名称として認識されるためには、文字や順列も一定程度制限がかかるものである。よって、本件キャラクターの名称の創作にあたり、表現の選択の幅は認められず、「創作的に」表現されたものとはいえない。なお、名称に無方式で発生する著作権の独占権を及ぼす必要性は低いし、名称に独占権が必要であれば、商標権によれば良いこ

令和6年予備試験:刑事実務基礎(予想B)

 刑事実務基礎(4枚)   第1 設問1 1 小問(1) (1)詐欺の被疑事実で逮捕状が発付されているため、刑事訴訟法(以下、略)199条の規定により被疑者を逮捕する場合には、令状なくして、捜索又は検証を行うことができる(220条1項、同条3項)。 (2)「逮捕する場合」とは、時間的場所的近接性があればたり、逮捕と捜索又は検証との間の前後関係は問わないと解される。本件では、①の行為と同時に、Aを現場付近で発見して、通常逮捕していることから、Aを「逮捕する場合」にあたる。 (3)次に、Aは現場付近で発見されていることから、①の場所は「逮捕の現場」にあたる。 (4)また、罪証隠滅を防ぐために速やかに証拠を保全する必要性があることから、「必要があるとき」にあたる。 (5)よって、220条1項2号の規定に従って、現場の写真撮影という「検証」及び本件車両内の証拠品の押収という「差押」の処分を令状なくして、行うことができる。 2 小問(2) 鑑定処分許可状および身体検査令状が必要と考えた。 理由 ②の行為は、Aがそれを拒んでいるにも関わらずに、身体への侵襲を行う行為であるいことから、個人の意思に反して、身体という重要な権利利益を侵害する処分として強制処分である。鑑定処分許可状のみでは、172条が準用する139条を準用していないことから、直接強制することができない。そこで、直接強制が可能な身体検査令状(218条1項後段、222条1項本文後段、139条)を併用した。   第2 設問2 1 小問(1) Aがレンタカーを申し込んだ時点で、レンタカーを詐取する故意があったかどうかを判断するために必要なるから。具体的には、本件フェリーの車両用チケットが、レンタカー申し込んだ時よりも前に購入されていれば、Aにはレンタカーを島外に持ち出す意図があったことを推認することができる。 2 小問(2) 積極的に働く事実 5日にX方を訪れた際にAは「昔から欲しかった車種だった。ナンバーも覚えやすいだろ。」などと言っていたという事実から、Aにはレンタカーを詐取する動機があることが推認することができる。もっとも、欲しかった車種だったということからは、単に自らの好みを発現しただけであって、詐取の動機があることの推認力は極めて限定的といえる。 消極的に働く事実 AはVに繰

令和6年予備試験:民事実務基礎(予想B)

 第1 設問1 1 小問(1) 所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求権 2 小問(2) 被告は、原告に対し、本件土地を明渡せ 3 小問(3) ①Xは本件土地を所有している。 ②Yは本件建物を通じて本件土地を占有している。 4 小問(4) ①Xは、令和2年7月1日、Aとの間で本件土地を賃料月額10万円で賃借することを内容とする本件賃貸借契約を締結した。 ②Xは、同日、①の契約に基づき、本件土地をAに引き渡した。 ③Aは、令和5年3月17日、Yとの間で本件土地を賃料月額10万円で貸借することを内容とする本件転貸借契約を締結した。 ④Aは、同日、③の契約に基づき、本件土地をYに引渡した。   第2 設問2 1 小問(1) (i)① 主張すべきである。 ② (1)Xは、令和6年3月7日、Aに対し、本件延滞賃料の支払を2週間以内にするよう求めた。 (2)令和6年21日は経過した。 (3)Xは、本件賃貸借契約を解除することを内容とする内容証明郵便を送達し、令和6年3月31日にAに到達した。 2 小問(2) (ii)①主張すべきでない。 ②本件土地の無断転貸は賃借人の債務不履行を内容とするものであり、これは債権者が主張立証の義務を負うものではないから。   2 小問(2) Xは、令和4年11月9日、本件商品をAに引渡した。 理由 同時履行の抗弁権を排斥するため。   第3 設問3 1 小問(1) Xは、Aに対し、令和4年11月9日、上記腕時計の代金として、100万円を支払った。 和解の効力として、残った債務がすでに消滅している点を主張するため 2 小問(2) (i) ①署名部分がAによってされた署名か否かを争う趣旨かを確認するべきである。 ②私文書は、本人の署名があるときは、真正に成立したものを推定される(民事訴訟法228条4項)。そのため、Aの署名がAによってなされいれば、真正成立が法律上推定されることから、文書の形式的証拠力が認められることになる。Qの否認するというのが、文書の形式的証拠力を争う趣旨なのか、実質的証拠力を争う趣旨が不明瞭であるから、これを確認する必要があるから。 (ii) Aによってされた署名かどうかを争う場合 この場合、Aのよって署名されたかの本証はP側にある。そのため、

令和6年予備試験:民事訴訟法(予想D)

 民事訴訟法 3枚半   設問1 1 当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、職権で、却下の決定をすることができる(民事訴訟法(以下略)157条1項)。 2 L2は、結審が予定されていたその後の口頭弁論期日において、相殺の抗弁を提出しているところ、「故意又は重大な過失」が認められるか。  当事者は、攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない(156条)とされている。この義務を前提として、157条1項では時機に遅れた攻撃防御の方法を却下することができるとしている。この趣旨は、適切な時期に提出できたにも関わらず、これを提出しなかった当事者を積極的に保護する必要性は乏しく、また、審理が長期化することによって訴訟経済が害されることを防ぐことにある。そこで、「故意又は重大な過失」とは、適切な時期に提出することが合理的に期待できたにも関わらず提出せず、かつ、審理の長期化を不当に行う意図を有していたことをいう、と解する。 相殺の抗弁は実質的敗訴にもなり得ることから、提出することが必ずしも期待できるものでもない。他方、審理が長期化するおそれはあるものの、L2の主張のとおり、請求異議の訴えでも主張が可能であることから、紛争の一回的解決の観点からは訴訟経済に資するものであるから、審理の長期化を不当に行う意図があったとはいえない。 よって、L2が相殺の抗弁を提出することは、合理的に期待できたともいえず、また、審理の長期化を不当に行う意図を有していたものでもないから、「故意又は重大な過失」があったとはいえない。 3 以上より、裁判所は、相殺の抗弁を却下すべきではない。   第2 設問2 1 Aは、本件訴訟において訴訟告知(53条1項)を受けており、これに参加しなかったものである。そのため、46条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなされる(53条4項)。よって、後訴において、前訴判決の裁判の「その効力」(46条1項)がAにも及ぶ。 2 46条1項の効力とは、既判力と同じ効力か、効力の性質が問題となる。46条の趣旨は、補助参加したにもかかわらず、被参加人が敗訴した場合に、公平上その責任を分担する

令和6年予備試験:商法(予想A)

 商法 4枚 第1 設問1(1) 本件株式の買取りは、自己株式の取得(会社法(以下略)160条、157条)であるところ、株主Dに交付した金銭等の帳簿価額は1,000万円である一方で、自己株取得の効力が生ずる日である令和6年3月31日時点の分配可能額は1,200万円であり、これを超過しており、財源規制に違反している(461条1項3号)。財源規制違反の自己株取得の効力が問題となる。 財源規制の趣旨は、会社財産の流出を防ぎ、会社債権者を保護することにある。もっとも、株式の流通を促進するために取引の安全を図る必要性もあるし、また、会社債権者は株主に対し、金銭を支払わせることができる(463条2項)ことから、自己株取得を有効にする許容性も認められる。しかし、非公開会社においては、株式の流通を促進する必要性は乏しいため、取引の安全を図る要請は後退する。そこで、非公開会社における財源規制違反の自己株取得の効力は無効となると解する。 本件では、甲社は、発行する全部の株式の内容について譲渡制限を設けている非公開会社であることから、財源規制に違反する本件株式の買い取りは無効である。   第2 設問1(2) 1Aの責任 取締役Aは「当該行為に関する職務を行った業務執行者である。また、本件株式の買い取りは財源規制に違反していることから、「前条第1項の規定に違反して」甲社が「3項」に掲げる行為をしている。よって、Aは、「金銭等の交付を受けた者」であるDが「受けた金銭等の帳簿価額」1,000万円を甲社に支払う義務を負う。 もっとも、「職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとき」は上記義務を負わない(462条2項)。 Aは自己の直属の部下であるGの記載の失念を見逃している。Aは、通常からGに任せきりにしており、自らが関与して記載内容をチェックすべきであったのに、それを怠っている。よって、上記義務を違反しているため、免責は認められない。   2Dの責任 株主Dは「金銭等の交付を受けた者」に該当することから、1,000万円を甲社に支払う義務を負う(462条1項)。   3Fの責任 「役員等」とである監査役Fは、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(423条1項)。 まず、「任務を怠った」といえる。監査役は取締

令和6年予備試験:民法(予想F)

 民法(3枚半)   第1 設問1(1) 1CのDに対する請求が認められるためには、①Cの乙土地所有、②Dの乙土地の占有が認められる必要があり、Dは乙土地を占有している(②充足)。 2Aは失踪の宣告によって、令和3年4月1日に死亡したものとみなされる。これによって、Aの子のCは乙土地を相続する。この点、「相続させる」の意味が問題となるところ、被相続人の合理的な意思からは、遺産分割方法の指定と解する。 3 よって、Cは、乙土地を単独で所有する。 4 これに対し、Dからは、相続による権利の承継は、「遺産の分割によるものかどうかにかかわらず」、相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないと反論する。CはBの相続分について、対抗要件たる登記を備えていないことから、「第三者」であるDに対抗できないと思える。 5 しかし、Bは遺産分割協議書等の必要な書類を偽造していることから、欠格事由(891条1項5号)が認められ、相続分を有しないものであることから、Cは単独で乙土地を相続することになるため、Dの反論は認められない。 6 以上より、CのDに対する請求は認められる。   第2 設問1(2) 1AのFに対する請求が認められるためには、第11の要件と同じであり、Fは乙土地を占有している。 2 失踪宣告の取消しの効力は善意の取引を妨げないところ、善意とは双方善意であることを要すると解する。  本件では、Bが悪意であることから、取引の効力は妨げられない。もっとも、BE売買、EF売買を一体のものとしてみることで、双方悪意とみることはできないか。この点、Eを藁人形として介在していると評価することができるため、双方悪意といえる。 よって、Aは自己の所有権をFに対抗することができるため、乙土地の明け渡し請求が認められる。   第3 設問2(1) ほぼ記憶なし。 Lは、Gのご振り込みによって、500万円の利益を受けていることから、「他人の財産によって利益」を受けた者である。 また、「法律上の原因」が無いといえる。 これによって、Gに500万円の「損失」が生じているから、因果関係も認められる。 以上より、LはGに500万円の返還義務を負う。   第4 設問2(2) Lは「悪意」であり、500万円