令和6年予備試験:知的財産法(予想A)
知的財産法(4枚) 第1 設問1 Cは、①本件小説の翻案権(26条)及び本件ポスターにつき有する複製権(21条)、譲渡権(26条の2第1項)の侵害、②本件キャラクターの名称につき有する複製権、譲渡権の侵害、③本件キャラクターのセリフにつき有する複製権、譲渡権の侵害をDに主張することが考えられる。 ①について まず、本件小説は言語の著作物(10条1項1号)であるから、Cが創作者と認められれば、著作権を有する(17条1項)。 Cはαの過去作品と本件資料を基にして、本件小説を執筆していることからCに創作的寄与が認められることから、著作者である。よって、Cは本件小説につき著作権を有する。なお、Aとは一切連絡を取っていないことから共同著作物(2条1項12号)にはあたらない。 「翻案」とは、原著作物に新たな創作的表現が付与され、原著作物の表現上の本質的特徴を感得し得るような著作物を創作する行為をいう。本件では、Cが捜索した本件キャラクターの外観上の特徴を視覚的に表現した絵画が用いられていることから、D独自の創作表現が付与され、かつ、本件小説に含まれる本件キャラクターの外観上の特徴が感得し得るような状態となっていることから、「翻案」にあたる。よって、本件小説の翻案権を侵害する。 また、二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を有する(28条)ことから、本件ポスターの印刷及び販売行為は、本件ポスターにつき有する複製権、譲渡権を侵害する。 よって、Cの主張は認められる。 ②について 本件キャラクターの名称は言語の著作物に該当し得る。もっとも、著作物(2条1項1号)といえるためには、「創作的に」表現されたものでなければならない。 創作性は著作者の個性が何らかの形で現れていれば足り、個性の有無は表現の選択の幅の有無によって判断する。本件キャラクターの具体的名称は明らかではないが、通常名称は短い文字数で表現される。また、名称として認識されるためには、文字や順列も一定程度制限がかかるものである。よって、本件キャラクターの名称の創作にあたり、表現の選択の幅は認められず、「創作的に」表現されたものとはいえない。なお、名称に無方式で発生する著作権の独占権を及ぼす必要性は低いし、名称に独占権が必要であれば、商標権によれ...